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「どうしよう」を乗り越えて、また、強くなる

梅雨が明ける、ほんの少し前のこと。

私は、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、カメラに向かって佇んでいた。

人の視線を敏感に感じてしまう私にとっては、大きな挑戦だった。

脚はブルブル、唇もブルブル。まったく、口角が上がらない。カメラを確認しなくても、自分の顔が「ぶちゃいく」なのは、よく分かっていた。まっすぐ歩きたくても、脳の指令通りに足が動いてはくれない。難しい。

頭の中で「モデルさんって、すごいなぁ」と、ぼんやり考えては、何テイクも繰り返しながら、撮影が進んでいった。

渋谷で撮影を終え、次の場所は表参道。

さらに難易度が上がりそうな予感しかしなかったが、これは本当に不思議なもので、大勢の前で何度も撮影していただいているうちに、感覚が麻痺しはじめ「気にしていられない!」という気持ちになってしまった。まるで魔法にでもかけられているように、撮影されることに慣れはじめていった。

14歳で適応障害と診断されてから、私はこの病気を別の名前で表現するなら「どうしようどうしよう症候群」だと、勝手にずっと思っていた。

極端な例でいえば、電車に乗るだけで「どうしよう」がはじまる。このまま無事に到着できるのか、また具合が悪くなってしまったらどうしよう、と不安が身体と心を支配していく。

そんな私が、大勢の前で撮影。しかも、渋谷のスクランブル交差点の真ん中に立つという前代未聞の挑戦。前日から案の定「どうしよう」と心配していたが、その反面「当たって砕けろ!」と思っていた部分もあり、どうにか乗り越えられた。

撮影中は、ひたすら動きに追いついていくしかなく「どうしよう」と感じる瞬間はなかったが(そう思っている暇もなく)無事に動画が完成したときは、心から、ほっとした。

これから先も「どうしよう」と孤独を感じる瞬間は何度も訪れるだろう。

だが、きちんと乗り越えた先には、自分だけにしか見えない美しい景色が広がっている。

今はトンネルの中で真っ暗だったとしても、いつかは光がさしてくる。まぶしいくらいに。

 

 

『不登校だった私が売れっ子Webライターになれた仕事術』(自由国民社)

コンセプトムービーのメインテーマは、28歳の私から14歳の私に伝えたい想いと言葉。

1分16秒の世界を、ぜひ下記よりご覧ください。

 

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