書いて生きていく。それが、今の私の切なる願いだ。
6年前、大学を卒業するときは、今の自分の姿なんて想像できなかった。まさか過去の点と点が、まるで、つじつま合わせだったように、ひとつの線になるとは思いも知らない。
Webライターとして6年目に入るが、今も決して最高到達地点に達しているわけではない。
諸先輩方をみていると、書く技術だけではなく、仕事のスキルすべてがまだまだ磨きあげきれていない、と強く感じる。
本当に向いているのか、今の仕事のやり方で合っているのか、もがき苦しみながらも、どうにか続けてきた。
書く仕事に就いているのに、読書量が足りていない。感情優先型の文章で、ときに具体的な根拠が欠けてしまう文章になってしまう……毎日、反省しながらも、このお仕事を続けてきた。
そんな私が、今年は本をだす。ずっと、願っていた「出版」という大きな夢が、ついに花ひらく。
Web記事(通常記事、と私は呼んでいる)の執筆と書籍の原稿執筆は、想像以上に過酷だった。終わった瞬間は、過呼吸になった。涙が止まらなかった。書いては考え、書いては考えの繰り返し。少なくとも3か月は、ずっとフルマラソン状態だった。
新しいステージを目の前にして、最近の私は少し弱っている。氣が上にあがりすぎていて、頭痛が止まらない。弱っているというより、突如として、孤独に包まれてしまうのだ。
「あぁ、もう頭が痛いから今日はずっと寝ていよう」と、決めていたはずなのに、モヤモヤを少しでも解消しようと、お気に入りのカフェに行き、紙に書きはじめる。
今の仕事をはじめる前も、思い起こせば「書く」とともに人生を歩んできた。
フリースクールへ行きたい、と父にお願いするときも、ノートに自分の想いを書き起こした。
恋人に「なんで付き合おうと思ったの?」と聞いたら「メモ帳に書き出している姿が、素敵だったから」と言われたことも、恥ずかしながらあった。
いつどんなときも、私の人生は「書く」が側にいる。最初は休むつもりでも、頭の中を整理しようと紙に書き出しているうちに、いつもの私へ戻っていくケースが大半だ。
「私は、物書きです」
大きな声で、そう名乗るまでには、まだまだ経験を積まなければいけない。
「もう、29歳なんだから」
「まだ、29歳なんだから」
第一線を走っている大人たちから、そう言われるたびに、複雑な感情になってしまう私がいる。
29歳という年齢は、今までの中で一番きついかもしれない、と最近はよく思う。もう新人ではいられない年齢。けれど先輩方からしてみれば、若輩者の私。
プライベートも、結婚をするのか、子育てをするのか、少しずつ選択肢を選ぶ時期に入っている。いろいろと考えているうちに、自分は中途半端なんじゃないか、と書く手が止まってしまうときもある。
書いて生きていくために、私は、きょうも書きはじめる。明日も明後日も書き続けて、いつか後ろを振り返ったときに、まっすぐな道が伸びていることを祈りながら。